Kiss me baby,Wake me up! Vol.6

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左之助は恐ろしい唸り声を上げながら飛びかかる。
全身で相手にぶつかって行き、フロアに引き倒した。
ものすごい音と共にふたりの180以上ある男が転がり、取っ組み合う。
左之助はさすがに他人の目の前で獣に変わって見せることはしなかったが、かなり正気を失っていることは明らかだ。目の色は金色を帯び、もう人の言葉をしゃべってはいない。
突然飛びかかられて驚愕しながらも剣道と合気道の有段者である彼は反射的に急所である咽喉を腕で守った。
しかしその二の腕にはふかぶかと左之助の鋭い歯が食いこみ、髪の毛を凄い力で引っ張られる。蒼紫は相手の鳩尾を狙って正拳を叩きこんで応戦した。
剣心は突然の出来事にしばらく呆然としていたが、我に返ると二人を引き離そうとするが、如何せん剣心の力では大男二人の喧嘩を止める事は出来ない。
その間にも植木鉢は倒され、土が撒き散らされる。
「左之!止めるでござる!左之助!!」
剣心は大声を上げるが、全く効果はない。剣心はだんだん腹が立ってきた。剣心は危険を顧みず、もみ合う二人の間に割り込んで行く。
「もうっ!いい加減にするで・・」
しかし剣心はあっけなく弾き飛ばされ、しりもちをついてしまった。
その時、腕を変な風についてしまって剣心は小さな悲鳴を上げる。
途端に左之助はその悲鳴を聞きつけ、襟首を引っ張っていた蒼紫を蹴り飛ばして剣心の方へ駆け寄る。
「大丈夫か、剣心!」
剣心の腕を取り、(打撲した方の手は、丁度蒼紫が握っていた方の手であった)両手でそっと包んで撫でさする。蒼紫に触れられた汚れを落すかのように払っては口付け、指を口に含んだ。
「痛えか?ちくしょう、アイツが・・」
左之助はしりもちをついている蒼紫のほうを鋭い目で睨んだ。まだ瞳の色は金を帯びている。普通の者なら思わず失禁してしまうほどの迫力だ。
しかし途端に左之助の頬は火を当てられたように熱くなった。驚いて剣心の方を向くと、剣心は顔を真っ赤にして左之助を打った手を包んでいた。
「左之のバカッ!」
呆然とする左之助を残して剣心は蒼紫に駆け寄る。
「四乃森先生、大丈夫でござるか?本当に、申し訳ないでござる・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

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